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Ep1 宝石商、ブラジルへ行く

2025.7.15

Ep1 宝石商、ブラジルへ行く

Kengo Kajita

2024年9月15日、香港ジュエリーショーが始まる前日、僕はCX905便で香港国際空港に降り立つと、そのままスカイシティ・マリオットホテルの会議室に向かった。

ICAのボードミーティング(理事会)に出席するためだ。

その場では、幾つかの議題について話し合ったのち、ある重要な決定が行われた。

2025年ICA Congressの開催地についての理事投票だ。

開催希望国の理事によるプレゼンテーションの末、満場一致で「ブラジル」に決まった。

そう、その時点からずっと、僕の心はブラジルにあった。

ブラジル、世界で5番目に大きい国土面積(日本の23倍)を誇る南米最大の国。

そしてもちろん歴史的な宝石の産出国として知られている。

アメシスト、シトリンは言うに及ばず、アクアマリン、トルマリン、ガーネット、エメラルドやアレキサンドライトなど良質なカラーストーンの宝庫である。

僕は、かつて米国留学中に幾つかの中南米の国を訪れる機会があった。

メキシコ、ペルー、エクアドル、ガラパゴス諸島。

けれどブラジルは未踏だった。

その頃から、僕は無意識にメインディッシュを食べずに取っておいたような気がしていた。

きっといつか、ブラジルに行くべき日が来るだろう、と。

20年近い年月が経った今、ブラジル人の宝石ディーラー仲間は、パッと思い浮かぶだけでも20人は居る。

何人かは、毎年のジェムショーで会うだけでなく、来日すればKAJITAのオフィスに訪ねてきてくれるような、長い付き合いになっていた。

僕がブラジルに行くと知ったら、その誰もが歓迎し、喜んでくれそうに思えた。

何よりブラジルのパライバ鉱山を実際に訪れて、この目で採掘の現場を見てみたい。

一度そのイメージが湧くと、もはや行かないという選択肢は無くなっていた。

幸い5月中旬から下旬にかけて、仕事上の大きなイベントもなさそうだ。

5月、息子の誕生日さえ東京で過ごせれば、この計画に障壁はない。

と、心を決めた矢先に、ひとつだけ迷いが生じた。

ブラジルは、1人で行くには遠すぎる。

もちろん現地でICAのメンバーたちと交流は出来るだろう。

ただ、本音を言えば、やはり気心の知れた仲間と異国での体験を共有したかった。

そこで僕は旅の道連れに、シンガポール・台湾事業のビジネスパートナーである藤森さんに声を掛けた。

「えーと、実はICAのコングレスの開催地がブラジルに決まったんだ。

その後にマインツアーがあって、有名なパライバの鉱山にも行けるらしい。

もちろんブラジルは遠いし、時間が掛かるのは承知の上なんだけど、よかったら一緒に行かない?」

声を掛けてから、藤森さんには、つい先日子供が生まれたばかりだったことを思い出した。

0歳児を置いての長期南米出張にお誘いするのはさすがに非常識か…と少し逡巡した僕をキリッと睨みつけると、藤森さんは諭すようにこう言った。

梶田さん、それならスターアライアンスの世界一周チケットで行こう。

この人、マジか。行く気満々じゃん。

そして、もう1人。

いつか世界一周をしながらノマドワークしてみたかったという、ベイエリア帰りのテックガイYamato氏も声をかけると二つ返事で参加を決めてくれた。

こうして、心強いメンバーと鬼退治ならぬ、宝探しの旅 in ブラジルに出かけることになったのだ。

-KK

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