2023.4.7
2023.4.7
Kengo Kajita
香港ジュエリーショーが開催されるのは、湾仔(ワンチャイ)にある展示会場で、僕たちはそこからほど近い上環(シェンワン)駅の近くに泊まっていました。
僕は香港では中環の西側の生活環境が好きで、定宿はいつもこの辺りです。今回のホテルは初めてのところでしたが、とても快適でした。

ホテルからほど近いHalfway coffee のモーニング
ところで香港の西と東、香港島と九龍、街の魅力を知るには、陳浩基によるミステリ小説「13・67」はそのガイドとしてうってつけです。
香港の社会情勢の変化と警察の内情をユニークな時間構成で描いた傑作中の傑作で、僕の周りにこの小説を読了後、居ても立ってもいられず香港旅行を思い立ち、実現した人がいるほどです。この本を読むと香港の内実が、近現代にいかに多層的に変化を重ねてきたのかを、カラフルな街の情景と共に知ることが出来ます。
そしてその街の変化の最先端として、2022年5月にMTR(香港の地下鉄)で、会展(エキシビジョンセンター)駅も新たに開通していて、ずーっと工事をしていた展示会場周辺の景色も、徐々にその全貌を現しつつありました。
さて、そんな香港ですが、肝心のジュエリーショーのにぎわいのほどはいかがなものか、というと、これが、実に、大混雑でした。
コロナ禍で、特に厳しく検疫体制をひいていた香港が、出入国制限を緩和して初めてのジュエリーショーということで、来場者の期待感は、出展者のそれを遥かに超えるものになりました。

沢山の来場者でにぎわっていたJAPANパビリオン
僕たちのブースも初日から、ありがたいことに沢山の知古のお客様に訪れていただきました。特に感激したのは、何組かの中国本土のバイヤーの方々が「香港のジュエリーショーに来たら、まず最初にKAJITAのブースに行きたかった」と真っ先に駆けつけてくれたことです。
僕たちも懐かしい顔ぶれとの再会に喜びつつ、この4年間での商環境の変化について、意見を交わし合いました。
そして、久しぶりに香港ショーに来て、「ああ、そういえばそうだった!」と強く感じたことがありました。それは、中国本土のバイヤーには、女性がとても多い、ということ。
ジュエリーは主に女性が身につけるものなのだからあたりまえでは?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、日本の卸事業では女性バイヤーというのは存外少ないのです。
これは日本のジュエリー業界はどちらかというと、小規模な製造業または輸出入商社の出自が多いからではないかと推察します。
対して中国のジュエリー産業は、特に近年、販売店が大きく力を持っているためか、リテール出自の女性ビジネスオーナーが非常に多いのです。自分の店の商品を、自分の感覚で仕入れる人たち。
ジュエリーバイヤーの素養をいくつか挙げてみると、
・ジュエリーや宝石に対する感性(感覚)が優れていること
・市場の相場や産地の情報に対する興味・収集力があること
・細部への目利き力と品質に妥協しない強い心を持っていること
・価格交渉力があること
・記憶力があり、数字に強いこと
こうした素養にもちろん性差はないし、むしろいくつかの項目においては、女性のほうが向いているようにも思うのです。
僕たちのブースに訪れた中国の女性バイヤーたちは、みんなタフでチャーミングでした。半日近く粘り強く品質をチェックし、交渉をガンガンしてくるかと思えば、新鮮な果物を分けてくれたり、自分用に欲しいからと僕たちの意見を聞きながら、何度も何度も鏡に映る自分の姿をチェックしたり。
そんなに言葉が通じるわけでもないのに、一日が終わると、ああ、なんだか今日も沢山おしゃべりしたなあという気分になりました。
僕はあらためて、日本にも、もっと女性バイヤーが増えるといいなあと感じました。

日本が誇る女性バイヤーたち(Filum正田さんとKAJITA加藤さん)、と火鍋
なにより、ようやくそんなふうにして、人間同士のやりとりができ、商売をする楽しみを取り戻せたことが嬉しかった香港でした。
5日間のジュエリーショーが終わり、荷物をまとめると、僕は月曜日の香港国際空港で、格安航空会社HK EXPRESSのカウンターに並んでいました。
次の渡航先は台湾の真ん中の都市、台中です。
-KK