2023.2.24
2023.2.24
Kengo Kajita

今回のツーソン出張に来る前から覚悟していたことがありました。
それは原材料価格の高騰と最近の為替状況によって、宝石の価格が相当高く感じるだろうということです。
宝石の国際取引は米ドルでの取引が基本です。
1カラットあたりXXドルという換算をしますが、
例えば5年前に1カラットあたり500ドルの宝石があったとして、3カラットサイズのものだと、日本円の価格はこうなります。
それが、同サイズ、同様のクオリティのものが、今年1カラットあたり600ドルになっていたらどうなるでしょう。
ドル相場で見ると($500→$600)約2割の価格上昇が、為替と掛け算になることで(16万→24万)実に5割以上の価格上昇になるのです。
原材料価格の高騰の要因は、そもそもの原石不足、採掘コスト、研磨コスト、輸送コストの上昇などの要因があり、これ自体は世界に、平等に起きていることです。
ですが、ドル円の為替相場がこれに重なることで、日本の会社が日本円換算で宝石を仕入れることには、かなりのディスアドバンテージが生じるのです。
「うわー高いなぁ」
売買の現場で提示された価格に 130円を掛けると、自分が頭に思い描いていた価格から、さらに1-2割は高く感じ、頭を抱えるという場面が何度もありました。
仕入れの場面ではいつくかの要素を複合的に考慮して、買う買わないを判断しなければなりません。
代表的なものを挙げるとすれば、それは以下のような要素になります。
KAJITAではカラーとクオリティで妥協することはありません。このフィルタリングがファーストステップです。広い広いジェムショーの会場の中をひたすら歩き回りながら、まずはこの2点で、僕らの「目に合う」宝石を探し回ります。
それに加えて、シェイプとサイズ、それにインクルージョンをチェックします。このセカンドステップは、ジュエリーに仕立てた時、どのようなアイテムになるのかを想像をしながら見ていきます。ここでユニークな形や応用が利く形、指輪に合うサイズ、ピアスにちょうどいいサイズなどなど、具体的なジュエリーをイメージしながら、選別します。
そしていざ、価格です。
価格というのは、買付のその場において、唯一可変であり、人によって決定することができる要素です。
もちろん安く仕入れることができれば嬉しいし、それは利益の源泉にもなる。お客さまに購入しやすい価格で提供できることにも繋がります。けれど、だからと言って、決して先の4つの要素をないがしろにするものにはなり得ないのです。
売り手と買い手は、交渉をしながら、お互いに決着点を探ります。
売り手は、長く継続して買い続けている我々に、不当に高い価格で提供しようとは思っていません。僕たち買い手も、ペッチペチに安く買い叩くということはありません。それでも、どこで決着をつけるかということは、取引の一番重要なポイントです。
僕たちが買い付けてきた宝石が適正な価格かどうかが分かるのは、しばらく後になってからのことです。
ただひとつ自信を持って言えることは、僕たちは常に、先ほどの1~4の要素で最高のものを選び抜いているということです。安いからといって4つの要素を諦めたことはありません。
僕たちバイヤーは、仕入れた宝石を見ると「あ、2年前のツーソンで、あのブラジル人から買ったトルマリンだ」とすぐに思い出すことができます。
ダイヤモンドやパールだと、なかなかこうはいきません。ひとつひとつ個性のあるカラーストーンならではの買付の醍醐味を、いつも感じているのです。

-KK